当院に関係する症状や治療方法について解説しています。
リンパの流れ
心臓から全身に送りだされた血液は、90%が静脈によって心臓へ帰りますが、残りの10%は組織間液として存在し、リンパ管を通って心臓へと帰っていきます。
すなわち、リンパ管は組織の間にある(蛋白に富んだ)水分を吸収して心臓へ運ぶ管で、いわゆる排水管の役割をしています。このリンパ管が障害され組織間液(組織の間にある水分)が回収されずに溜まってしまうとむくみが出てきます。
症状は、むくみによる手足の重だるさで、ひどくなると重くて腕や脚が動かしにくくなったり、特に高齢者では歩行障害をきたすことがあります。
また、皮膚が乾燥し、硬くなってひび割れを起こしたり、皮膚が隆起して象の皮膚のようになる象皮病になることがあります。
さらに、細菌感染により炎症を起こす(蜂窩織炎と言います)と、高熱がでたり、赤くさらに腫れがひどくなり痛みを認めるようになることがあります。
・ゆっくりと発症して徐々に悪化するむくみ
・むくみによる手足の重だるさ
・手足が重くなり、動かしにくくなる
・特に高齢者では歩行障害
・細菌感染により炎症を起こすと、高熱がでたり、
赤くさらに腫れたり痛みを認めるようになる
蜂窩織炎
左下肢の発赤、腫脹
既往歴、経過などの問診と、視診、触診などで十分診断可能ですが、浮腫をきたす他の疾患との鑑別も必要です。血液検査やCT検査、超音波検査などを行い、心臓、腎臓、肝臓などの病気の有無をチェックしたり、癌の再発などのチェックが必要と思われます。
リンパ浮腫の治療は複合的理学療法と言って、スキンケア、用手的リンパドレナージ、弾性包帯による圧迫療法、運動療法の4項目を行うことが基本的な治療とされています。外科的治療はリンパ管静脈吻合術などがありますが、現在有効な手術方法は認められていません。
複合的理学療法
1)スキンケア
2)用手的リンパドレナージ
3)圧迫療法
4)運動療法(圧迫したうえでの)
薬物治療
外科的治療
リンパ管静脈吻合術
複合的理学療法
1)スキンケア
細菌感染をきたすと、高熱が出てさらに悪化しますので、清潔を保ち、傷つけないように注意することです。
2)用手的リンパドレナージ
皮膚と手のひら全体を密着させ、皮膚をずらすようにゆっくりと動かすマッサージです。
リンパを吸収させやすくし、むくみを改善させます。
3)圧迫療法
弾性ストッキングをはいたり、弾性包帯を巻くことでリンパの流れをよくします。
4)運動療法
圧迫療法を行いながら運動することでさらにリンパの流れが良くなります。